時 評
谷川昌幸
ネパール協会HP同時掲載

  1998年 (→Index

981128 19世紀ネパールの農業社会
 マヘシ・C・レグミ著/蓮見順子訳『一九世紀ネパールの農業社会』が出版され
ました。
 この本は専門の学術書ですが決して難解ではなく、多くの資料を用いてネパール農村の法的・経済的・社会的構造を明快に分析しており、専門外の私にもよく理解できました。著者の詳細な注と、王政復古後の土地制度改革を扱った訳者解説もたいへん参考になります。
 この本をお読みになりましたら、ぜひ感想をお聞かせください。


981028 Re: ネパールの 郵便事情についての質問
 残念ながら、郵便物はよく紛失します。比較的安全なのが、貴重品が入っていないことが外からよくわかる郵便物で、本や印刷物を開封で送ると、まず間違いなく到着しました。
 これも「文化」ですから、善悪を云々しても、いたしかたありません。そういう「文化」として交際せざるをでしょう。もっとも、私自身いつまでたっても文化相対主義的な達観に達せず、紛失にいつも腹を立てていますが・・・・。


981012 Re: 誰か知りませんか?

 JICAのネパール事務所が、ネパールでの活動に関するパンフレットを出しています。数年前に事務所を訪問したときいくつかの資料をいただきましたが、いま手元になく具体的な内容は覚えていません。手紙か電話またはファックスで問い合わせれば、送ってもらえるのではないでしょうか?


981007 ネパール農村の女性と開発(講演会)

「ネパール農村の女性と開発」という講演会が開催されます。宣伝文をそのまま転載します。------------------------------------------------------------------------------

  シャプラニールがやって来た! ―ネパール農村の女性とグループ活動―

シャプラニールはネパールで現地NGOと共同で村民の生活向上のための支援活動を行っています。実際にどのようなプロジェクトを実施しているのかを参加者のみなさんにも体験してもらいながら、海外協力について考えます。

(日時)10月22日(木)、19:00-21:00
(場所)山形女性センター(ファーラ)5F
(講師)ラム・クマール・シュレスタ氏(ネパールCDC地域開発プログラム担当部長)
(参加費)300円
(主催)山形県青年海外協力協会(YOCA)


980924 「エベレスト」極限大の映像

AERA」9月21日号が「エベレスト」という映画の紹介をしています。普通の映画の10倍の面積のフィルムを使用した想像を絶する迫力の画面で、アメリカではすでにあの「タイタニック」以上の入場成績を上げているとのこと。10月から新宿のアイマックス劇場で上映されますが、山形はいつになるかわかりません。東京でご覧になったら、感想をお教えください。


980917 国会議長来日

ヤップーの検索で、「女性 政治」と入力したら、みえのしげ子議員のホームページが出ました。ネパール国会上院議長来日(9/20-26)のニュースも出ています。--------------------------------------------------------------------------------

みえのしげ子 - 参議院議員。議会での活動報告や、近況、ネパールとの友好を目指した「アジアこどもと女性教育基金の会」の活動報告等。http://www.infoqshu.or.jp/mieno/

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980912 山形・そば・ネパール

 山形は信州と並ぶ「そば」の名所で、至る所に「そば」の元祖や本家が店を構えています。山形人は元祖から本家へと「そば」を食べ歩き、微妙な食味の差を鑑定し、「そば」文化の奥の深さを語ってやみません。 そんな山形「そば」文化のいっそうの発展に寄与すべく、地域文化の旗手「山形新聞」が次のような<大事業>に着手しました。どのような成果が出るか、楽しみです。(報告が出たら紹介します。)

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●世界のそば街道を行く

 山形新聞、山形放送は八大事業の一つとして、「世界のSOBA(そば)街道を行く」取材班をネパールとアメリカに派遣します。・・・・
 世界の屋根ネパール・ヒマラヤは赤花ソバのふるさと。標高三千b級の高地で営々と栽培されている赤い花は、どんな食文化とともに根づいているのか。巨峰ひしめく中央ネパール北部の山あいを訪ね、ルポします。・・・・         (山形新聞、9月10日)

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980909 Re:ロイヤルねぱーるでいくと?

いつもロイヤル・ネパールを愛用しています。機内で往きと帰りの2日間も余分にネパールが楽しめるからです! ネパールはネパール国内だけで十分という人は別ですが、日本からネパールへ瞬時に移行したい人、その文化的落差、スリルを楽しみたい人にはお勧めです。少々、マニアック、自虐的(?)かもしれませんが・・・・。


980718 Re: 曼陀羅教室

 はじめまして。私の専門は政治学・憲法学ですが、勤務先(東北芸術工科大学)が芸術系の大学なので、数年前、十数名の学生を連れてネパールへ行ったとき、曼荼羅工房で約一ヶ月間曼荼羅の制作を修業してもらいました。学生たちには日本画や洋画やデザインの基礎があり、上達は速く、一ヶ月後に出来上がった曼荼羅はネパールの専門家も驚くほどの出来映えでした。ドイツ文化会館ホールで作品展を開き、他の作品と一緒に曼荼羅も展示したのですが、たいへん好評で、ネパールの新聞やテレビも好意的に報道してくれました。
 手元にスケジュール表がないので概略だけ説明します。
 1)曼荼羅の図像学的意味などに関する講義
 2)制作する曼荼羅の選択(多くの曼荼羅の中から各自が好みのものを選択)
 3)制作(毎日工房に通い、ネパール人のお弟子さんと一緒に制作)
 4)作品講評会/終了式/パーティー
 この曼荼羅教室はたいへん充実したもので、学生たちにも好評でした。翌年の参加者は4名と少なかったので、旧王宮のすぐ近くの先生の自宅兼アトリエ(8畳位)で、やはり一ヶ月ほど教えてもらいました。私も時々見学に行ったのですが、ネワール人の生活がじかに観察でき、別の意味で私にとってもたいへん興味深い経験でした。
 この先生には、私の知人の紹介で指導をお願いしました。個人的なツテであり、いまでも日本人に曼荼羅制作の指導をしてくれるかどうかはわかりません。私の感じでは、旧王宮付近の曼荼羅ショップかホテルのオーナーなどに尋ねれば、制作指導をしてくれる先生は見つかると思います。


980716 Re: 編集委員諸氏にに感謝します

 すばらしい! 図書館保存ということは、可能な限り長く、できれば半永久的に保存するということだから、そのような保存に値する会報を編集・発行されてきた歴代編集委員の皆様に敬意を表します。これからも内容をさらに充実させ、もっと多くの図書館に購読、保存してもらえるよう、編集にご努力くださるようお願いします。


980707 Re: ゴルカからも撤退しています

 マオイスト、あるいは「マオイスト」を騙る集団がNGOも襲撃対象にし始めました。ゴルカの「セイブ・ザ・チルドレン」やバグルン(?)の「アクション・エイド」が襲われ、ドイツのGTZは西部ゴルカから、また「ケア・ネパール」はジャジャルコット(?)から、それぞれ撤退することを決めたそうです。
 反体制急進派からすれば、政府容認のNGOは反動勢力の補完者に過ぎないのかもしれません。


980606 ネパール国旗のシンボリズム

 日ネ協会「宮城・山形支部」の集会が6月7日、仙台で開催されます。(イベントのページをご覧ください。http://www.big.or.jp/~jns/event/event.html) 日ネ協会の会員以外の方も大歓迎です。多数ご参加ください。
 集会は、ネパールについて自由に語り合い親睦を深めることが目的ですが、誰も話題を用意していかないと、話しのきっかけがつかめませんので、にわか勉強でネパール国旗の歴史と意味を少し調べました。議論の時間があれば、「ネパール国旗のシンボリズム」という凄い題で話題提供をしたいと思います。凄いのはテーマだけで、実際には出席者の皆様からネパール国旗の由来や意味を教えてもらう魂胆です。国旗のことは、分かっているようで実はよく分からない。ご存じの方は、この機会に是非お教えください。
 集会では、もちろん他にも楽しい話しがたくさん出るはずです。多芸多才な佐藤喜市・事務局長の名司会で集会はいつものように盛り上がるに違いありません。是非おいでください。


980529 日ネ国交樹立40周年切手

日本・ネパール国交樹立40周年記念切手が出ています。昨日届いた手紙ではじめて知りました。下記のホームページに掲載していますので、ご覧ください。(容量の関係で、画質は落としてあります。ご了承ください)

http://plaza20.mbn.or.jp/~pax/npl/photo/0003/Index.htm


980525 Re: ネパールの良い映画知りませんか?

ネパールの映画やテレビ番組のビデオをたくさん置いているレンタルビデオ店がたしか池袋にあったと思います。画質はいまいちのものが多いが、楽しめました。最近どうなっているかは分かりませんが、ご参考までに。(文字化けのため、メッセージの本文は読めませんでした。)


980515 Re: 難しいことは分かりませんけど

 経済制裁がインドに相当のダメージを与えるほど厳しいものになれば、ネパールも影響を受けざるをえないのではないでしょうか。インドを迂回する交易は実際上不可能です。
 しかし、経済的な問題よりも懸念されるのは、核実験によって南アジアが政治的に緊張し、ネパールに悪影響を与えることです。政治的緊張は曲がりなりにも存続しているネパールの民主政治を動揺させ、強権政治を復活させるおそれがあります。またヒンズー原理主義の台頭はネパールにまで波及し、宗教的・社会的対立を顕在化させかねません。ネパールのような多民族・多文化の小国にとって、地域の平和は生存の不可欠の前提条件です。
 インドの核実験については、残念ながら、インドの論理の方がアメリカを始めとする核保有5大国の論理よりも整合性があります。すでに核兵器を保有し、未臨界実験によって核兵器の性能向上を図りながらインドの核実験を非難し制裁を叫ぶのは、見え透いた詭弁に過ぎません。またアメリカの核の傘に頼っている日本政府にもインド制裁を唱える資格はありません。
 もちろん核5大国や日本にも、核実験が得策ではないとインドを政治的に説得することはできるでしょうが、明白な不公平を前提にしたそのような説得が功を奏するとは思われません。インドを論理的に論破し、パキスタンやアラブ諸国への核拡散を阻止するには、核兵器廃絶の宣言によってインドよりも倫理的に優位な立場に立つことが何よりもまず必要なことではないでしょうか。 


980509 鳥葬

『週刊朝日』5月8・15日号に、鳥葬の記事がでています。

 ●大谷映芳「秘境ムスタンの聖なる儀式・鳥葬」

短い特集ですが、珍しいものです。ご覧ください。


980506 Re: ネパールのE-mailについて

 私の場合も、問題なくネパールとのE-MAILの送受信が出来ます。専門的なことは分かりませんが、停電とか故障で先方のシステムが止まっているのではないでしょうか。
 私の大学のサーバーも時々故障し、MAILやホームページへのアクセスが出来なくなります。何日か待って、送信してみてはいかがでしょうか? 


980506 Re: ネパールへの送金方法?

 ご回答、有り難うございます。どうやら送金方法の決定版はないようですね。代金は、自分でもっていくか友人に頼むしかないなんて、牧歌的でまるで夢のようです。ネパールの本が貴重(入手困難)な理由がよく分かりました。夏にでも、飛行機に乗って、数百円の本を何冊か買い出しに行くことにします。
 ところで、未練がましいようですが、クレジットカードで安全、確実に取り引きできる書店はありませんか? Faxか手紙で注文を出し、VISAなどのカードで決済するという方法です。ご存じの方は、是非お教え下さい。よろしく


971212 東電OL殺人事件

 金子貴一著「東電OL殺人、ネパール人は本当に犯人か」(文芸春秋、1998.1)を読んで、これは大事件になるのではないかと心配している。
 容疑者のネパール人Mは、警察で「拷問を受け虚偽の自白」をしたとされ、その傍証もかなりあるようだ。ネパールでも、センセーショナルに報道され、アムネスティも抗議運動を始めたという。容疑事実も取り調べの様子も詳細はよく分からないが、記事の指摘通りだとすると、国際的な人権問題になるおそれがある。
 これは重大に問題提起であり、見過ごすことはできない。むろん情報も力もない私たちに出来ることは限られている。とりあえず今は「ネパールに関心を持つ多くの人々がこの事件の推移を注意深く見ている」という意志表示が出来るくらいである。しかし、それだけでも、何もしないよりはよいと思う。多くの人に見られてところでは、人権侵害のおそれのあるような取り調べはやり難くなるからである。
 犯行事実の立証や反証はここでの第一の関心事ではない。私としては、この事件の「適正な取り調べ」を要望したいのである。これはネパールに関心を持つ多くの人々の共通の願いではないであろうか。
----以上は、記事を一読した私の個人的な感想です。ご意見をお聞かせください。


980501 ネパールへの送金方法?

 ネパールに送金するにはどうすればよいのでしょうか。郵便局では、現金書留も小為替も「ネパールは扱っていません」とのこと。安全で、送金料の安い方法があれば、お教え下さい。
 (1)個人あての場合
 (2)書店あての場合


980323 ネパール研究の現状

 Himal, March 1998 をパラパラ見ていたら、インドにおけるネパール研究の現状が批判されていた。Pratyoush Onta という人の短文ですが、たとえば
(1)英語文献だけしか使わない
(2)情報源が特定の少数者
(3)インドの政治的利害と結びついている
(4)社会科学の成果を十分利用していない
などと、かなり辛辣です。インドのネパール研究の現状は、60-70年代の Gupta Mojundar 以下のレベルだそうです。
 この評価がどこまで当たっているか分かりませんが、いずれにせよ議論はよいことです。反論が出ると面白いのですが。


980317 ネパールの味「スパイス・キッチン」(山形)

▼山形に本格的南アジア・レストラン「スパイス・キッチン」があることをご存じだろうか?メニューはバラエティーに富み、味は東京のレストランに勝るとも劣らない(私の厳正な鑑定による)。雰囲気は、もうまるで現地そのもの、客も南アジア出身者が多く、この地方の様々な言葉が飛び交っている。(時間帯により、日本語が多いときもある。)ここで一人寂しくビールを飲んでいると、すぅーと別世界へ引き込まれ、まるでタメルかインドラチョークの、とあるレストランにいるような錯覚にとらわれてしまう。ネパールが恋しい人、「ネパールって、どんな国?!」と思っている人に、お薦めです。

●スパイス・キッチン

山形駅から県庁方向へ歩いて5分、     =====【山形駅】====

「十字屋デパート」向かい               |

(TEL.)023-634-1138                  |

                                          (十字屋)|

                       ――――|―――――

                  スパイス →★  |

                  キッチン     |

                           

                           県庁 


980309 共産党分裂

報道によれば、ネパール共産党(CPN-UML)が、2つに大分裂しました。
 ●CPN-UML = M・K・ネパールら49議員(右派)
 ▲CPN-ML = B・ゴータムら46議員(左派)
原因はマハカリ条約のようです。建設的な論争ならよいのですが、これがネパール政治の一層の混乱を招くだけの不毛な権力闘争に拍車を掛けることになるのでは、と危惧しています。


980212 チューラ(焼米)

ネパールの焼米チューラの記事が『中央公論』2月号に出ています。3頁の短い特集ですが、美しい写真が使用されていて、楽しめます。ご覧下さい。


980207 ネパールの仏教僧院

新刊かどうか分かりませんが、『ネパールの仏教僧院』という本の広告が出ています。ちょっと高いのと、専門外なので、個人では買えませんが、芸術系大学の教員の特権を悪用し、図書館で買ってもらおうかと考えています。この場合、納本は半年後くらいになってしまいます。どなたか、このページか『会報』で紹介していただけませんか?

●日本工業大学ネパール王国古王宮調査団(編)

 『ネパールの仏教僧院―ネパール古王宮調査報告V』中央公論美術出版、¥21,000.


980126 ネパール支援絵馬ほか

@ネパール支援絵馬(山形新聞1/25)
 山形県の新庄駅を核にした最上地域の活性化イベントの一環として「寒修業祈願祭」が、27日午後5時から、JR新庄駅北側の最上広域交流拠点施設建設予定地で開催される。絵馬(300円)代金の一部はネパール支援基金に充てられという。  (主催)ノスタルジックSL庫実行委員会
 スキーか豪雪体験ツアーの一部に組み込まれてはいかがですか?
AT・ハーゲン『ネパール』(山形新聞1/26)
 佐々木幹郎さんが山形新聞の「私が出合った本」というコラムで、トニー・ハーゲンの『ネパール』を取り上げ、「わたしはこの書物から、異文化を愛する行為の神髄を教えられたのだと思う」と書いています。
 通信社の配信であれば、他の新聞にも出ているかもしれません。


980119 Re: 新刊、三瓶清朝著『ネパール紀行』

 読みました。これは大変面白く有益な本です。著者が、ウパディヤ=ブラーマンの親族名称の調査をしたときの興味深い見聞の数々が達意の文章で描かれ、最初から最後まで飽きさせません。とくにカーストと結婚の関係についての考察は、専門外の私にも大変参考になりました。どなたか『会報』で紹介していただけませんか?


980116 新刊 Local Self-Government in Nepal

ネパールの地方自治の研究書が出版されました。
Local Self-Govenment in Nepal

    Ed. by Ganga B. Thapa
    Political Science Association of Nepal,1998. Rs.200
1. Local Self-Government: An Introduction
2. Legal Status of Local Governance and Decentralization in Nepal
3. Local Self-Government in Nepal: Future Perspective
4. Economic Decentralization in Nepal
5. Local Finance in Nepal
6. Local Self-Government in Nepal: Evolving Practices
7. Local-Self-government: The Role of Political Parties in Nepal
8. Role of Political Parties in Strenghthening Local-Self Gvernance in Nepal
9. Is there anything as "Good Governance" in Nepal


980114 新刊、三瓶清朝著『ネパール紀行』

 三瓶清朝『ネパール紀行―文化人類学の旅』(明石書店、2500円)という本が出版されました。
 著者はトリブバン大学ネパール・アジア研究所に留学後、いわき明星大学教授となられ、社会学、文化人類学を専攻されています。
 これから読み、感想を記入します。すでにお読みの方がいらっしゃいましたら、感想をお聞かせください。