「国際関係論」公開講座

「アフリカ社会の現状と教育の課題」を聞いて

クロスカルチャーコース 2年 薄井亞耶

今回、私は初めてJICAの方の話を聞かせていただきました。私自身、JICAの活動内容に非常に興味があったため、この講演を心待ちにしていました。講演者である大久保さんは、アフリカのマラウイ共和国、そしてガーナに「理数科教師」として派遣されたそうです。講演の中で大久保さんは、アフリカにおける教育事情を教師の立場から真剣に語ってくださいました。

まず、大久保さんの派遣されたマラウイ共和国について。マラウイ共和国はアフリカ南部に位置し、国の面積は11.8万平方キロメートル、人口は1,120万人、言語は、チェワ語、英語が公用語で国語以外は英語での授業が行われているそうです。宗教はキリスト教が半数、その他イスラム教や伝統宗教などです。1964年にイギリスより独立しました。メインである教育制度について。初等教育が8年間、中等教育(日本で言う中学校と高等学校を併せたもの)が4年間、そのあと大学に進学する人はさらにそれから3〜6年大学に通います。授業には実技科目がなく、代わりに農業や聖書の授業があるそうです。学期は、1学期が1〜4月、2学期が5〜7月、3学期が8〜11月の3学期制です。課外活動は男子の間ではサッカー、女子の間ではネットボールが盛んだそうです。大久保さんたちのがんばりにもかかわらず、この国で今現在、大学に進学する人はほとんどおらず、中等教育でも人口の5%、初等教育は1995年次においては83%だったのに、現在は50%の人々しかその教育を受けることしかできない状況にあります。識字率は男性が77%、女性が54%ときわめて低い状態にあり、農村部や都市貧困層、女性の4分の3は学校に通っていないのです。その原因として、子供や女性は生計を立てるために働かなけれぱならない。だから学校に行かずに家で家事をしたり農業の手伝いをするというのが当たり前なのです。ここでは、その日の生計を立てるために必死なので学校で字などを習っている暇などないのだということが伝わるような感じがしました。

次にガーナについて。ガーナはアフリカ西部に位置し、面積238,537平方キロメートルで日本の約3分の2、人口は約2,110万人、言語は英語が公用語となっています。そして宗教は半分がキリスト教徒でイスラム教徒が約15%、その他が伝統宗教を信仰していると言うことになります。1957年にイギリスから独立しました。教育制度は日本と同じで小学校が6年、中学校が3年、高校が3年、その後大学が4年です。授業はすべて英語で行われ、実技科目はないそうです。環境はマラウイ共和国より幾分よく、学校にパソコンが設置されていると言うことです。高校を卒業した後、1年間の杜会貢献活動をするのが当たり前となっています。ここガーナでも2001年には80%だった小学校就学率が2006年には男子65%、女子53%、中学校就学率は2001年の64%から2006年には男子39%、女子33%と大きな減少を見せています。識字率は男性が63%,女性が46%です。国際協力は前より進んでいるはずなのに、就学率が下がってしまうのはどういったことなのでしょうか? と後から疑問が湧いてきました。国の情勢の悪化でしょうか? それとも国際協力体制の質の低下でしょうか? 特に女性の就学率や識字率はアフリカのどの国においても男性に比べて低いです。

まとめとして、アフリカの教育事情は今でもよい状態とはいえず、識字率も就学率も非常に低い。また、男女間の教育レベルの格差や、アフリカでの教員の不足なども依然深刻な問題である。貧困がなぜ無くならないのか?それは、貧困→飢え→栄養失調→病気→学校→基本的技術→生業→低収入→貧困・・・・の堂々巡りであるということ、その一つ一つを改善していかなければ貧困は撲滅しないということです。そのために一番必要なことは、教育を充実させることではないかと思います。学校というのは生活に必要なこと、生きていく知恵を教えてそれを後生に伝える場です。家庭で親の仕事や家事の手伝いをしているだけでは身に付かないところだってある。それを補うのが学校という場所です。学校できちんとした知識を身につけ子供たちが将来立派な大人になって国を担っていく。学校は子供たちの未来を担う場、育てる場だということです。今回JICAの方の話を聞かせていただいて、日本がJICAというすばらしい機構を立ち上げ、国際協力を行っていること、発展途上国を支え、きちんと教育を施し、国を発展させるためには先進国に生きている私たち若者の手が必要だということが分かりました。

今世界には信じられないほど悲惨なことばかり起こっていてあげたらきりがありませんが、日本のこのJICAのような、現在の状態を直視しそれを解決しようと活動を続ける団体があり、それに携わり協力したいという若者がたくさんいるということは、日本の将来に希望を与えてくれるような気がします。最後に大久保さんから大学生活で必要なことは、健康な身体を持つこと、情熱を持つこと、大学の勉強をがんばることだというアドバイスを頂きました。今回のお話を聞いて私も将来を担う若者としての意識を持ち、より平和な世界を目指して夢に向かって日々がんばっていこうと思いました。

(2006.7)