選択的夫婦別姓制度の
法制化の早期実現を求める意見書



 我が国は、民法第七五十条により夫婦同氏を強要することを法により定めている。このような夫婦同姓の強制は世界でも稀な制度であり、近年選択的夫婦別姓制度の法制化を求める声が高まっている。

 歴史的に見ても、明治三十一年に旧民法が制定きれ、日本独特の家制度の反映による同氏強制が始まるまで、我が国においても、夫婦別姓はごく自然のことで、まるで長い日本の伝統のように思われている夫婦同姓の強要もたかだか百年にも満たない歴史しかない。

 また、世界的にも夫婦別姓の選択は、男女平等、個人の尊厳の観点から、当然の権利として認められいる。日本の植民地時代の名残で、戸籍制度を有する韓国においても夫婦は別姓である。

 自己の氏を変えることを強制されることは、自己の尊厳に関わる重大問題であり、社会的にも氏が変わることによる不利益は計り知れない。

 我が国では、第二次世界大戦後の新憲法のもと、家制度が廃止されたにもかかわらず、夫婦同氏の強要が残ったために、家制度的なもの、男女差別的なものを強くひきずる形で今日に至っている。したがって、「夫婦どちらかの氏を変更する」となっているにもかかわらず、九十七パーセントは女性が氏を変更しており、不利益は専ら女性の側が負っているのが現状である。特に女性の社会進出が進む中、社会で活動する女性にとって、氏の変更は大きなダメージであり、これを避けるために事実婚、通称使用を通している人たちの苦労も大変なものである。

 よって、本区議会は政府に対し、結婚後も夫婦別姓を望む人が自由に別姓を選択できるンステムの法制化をー日も早く実現するよう強く要望する。

 右、地方自治法第九十九条第二項の規定に基づき意見書を提出する。

    平成四年十月十四日

                              東京都江東区議会議長  米沢 正和

内閣総理大臣
法務大臣       あて