上田勝美 

立憲平和主義と人権


法律文化社,2005年,6400円


本書の表題となっている「立憲平和主義は,近代の立憲主義(国民主権,基本的人権,権力分立)に,現代の絶対非戦・平和主義を加えたものであり,著者はこれこそが日本国憲法の基本原理だと考えている。

そして,いずれ諸外国も日本国憲法のこの立憲平和主義の普遍性を認め,憲法に戦争放棄を規定する歴史段階に到達するものとみている。

本書は,絶対非戦の永世中立を説いた田畑忍憲法学を正統に継承するものであり,その憲法解釈は明解である。全体として,本書は,時流に流される世論,現状追認に陥りがちな憲法学界に対する根本的な問題提起となっている。

序章

第T編 平和憲法論の視座
 第1章 憲法学方法論の現代的課題
 第2章 憲法の最高法規性と憲法保障の課題

第U編 立憲平和主義の先進性と普遍性
 第3章 日本の立憲平和主義に関する理論と課題
 第4章 戦争の放棄と日本の永世中立構想
 第5章 平和憲法に矛盾する安保軍事体制

第V編 平和憲法と人権
 第6章 人権体系論再構成の課題―新しい人権の生成との関連で
 第7章 「新しい人権」の憲法的考察
 第8章 日本国憲法と平和的生存権

第4編 憲法改正の法理と理論
 第9章 憲法改正条項と学説の動向
 第10章 憲法の改正と変遷
 第11章 歴史の発展法則と憲法改正の法理
 

                              (谷川昌幸,2005.10.26)