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自民党/民主党,教育基本法改正案発表

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長崎市議会 教育基本法改正をもとめる意見書採択

教育基本法の徹底論議に基づく早期改正を求める意見書の提出に関する請願 <採択
教育基本法「改正」ではなく,教育基本法に基づく施策を進めることを求める国への意見書提出に関する請願 <不採択

議事録はまだ議会ホームページに掲載されていないので,審議の詳細は不明。平和都市・長崎が,教育に関し,どのような議論をしているか,大いに興味がある。まさか,人権・平和・民主主義が「伝統」ではなく,天皇制や家族制度が日本古来の「伝統」だなどという興味深い議論がなされているわけではなかろう。議事録の公開が楽しみだ。(谷川 2004.11.15)/議事録公開。上記請願をクリックしてください。(谷川2004.12.13)

私見1
教育基本法ユネスコ憲章
長崎県議会・意見書滋賀県議会・意見書自民党改憲論教基法改正論下村政務官意見日本会議意見
憲法改正論


自民党「憲法改正のポイント」
▼家族や共同体が、「公共」の基本をなすものとして位置づけられた憲法でなくてはならない。
▼歴史、伝統、文化に根ざした我が国固有の価値(すなわち「国柄」)や、日本人が元来有してきた道徳心など健全な常識を大切にし、同時に、日本国、日本人のアイデンティティを憲法の中に見いだし、憲法を通じて、国民の中に自然と「愛国心」が芽生えてくるような、そんな新しい憲法にしなければならない。
▼国家の構成員としての国民の責務や日本古来の伝統・文化を尊重する責務を憲法に明記すべきではないか。
▼かつて日本人が諸外国から親切で礼儀正しいと言われ尊敬されたのは、道徳教育が行き渡り、「修身、斉家、治国、平天下」(大学)という考え方があったからです。  (以上,自民党「憲法改正のポイント」より。2004.11.15)
自民党運動方針

講演会:下村博文「日本の教育改革,イギリスの教育改革」(主催:長崎大学教育学部自治会,2004.12.7)


私見@ 自民党ニュースピーク: 英語で歌え,Kimigayo! (谷川昌幸) 

自民党はなぜ「日本国,日本人のアイデンティティ」などという,国柄史観に矛盾するような表現を好むのか? 古来の「日本」に近着舶来の「アイデンティティ」。水と油のようにそぐわないはずのものを,どうして無理にくっつけるのか? それよりも何よりも,そもそも「日本人のアイデンティティ」はせいぜい明治以降であり,古くも何ともない。石器ねつ造のようなものだ。オーウェル流に言えば,「古いは新しい,新しいは古い」という,自民党的ニュースピークといってよい。

自民党の大好きな天皇家も,奇妙な洋装をさせられている。皇室に日本古来の伝統を体現させたいのなら,なぜ古来の(少なくとも江戸時代の)和装で公式行事をさせないのか? (現天皇は確信的護憲派であり,私は深く尊敬している。→象徴天皇・象徴国王,万歳!) 自民党には鹿鳴館根性がこびりつき,半植民地意識がまだ抜けきっていないようだ。

これでは,日本国民は大混乱する。古来の「日本人」たらんと欲すれば,「アイデンティティ」が分からず,「アイデンティティ」を理解せんとすれば,古来の「日本人」は分解消散する。伝統的な下駄で登校すれば野蛮だと叱られ,日の丸を拝まないと伝統侮蔑と非難・処罰される。そのうち,英語でKimigayoを歌わされる日が来るにちがいない。

自民党や財界が日本文化も日本の伝統も大切にしていないこと,いや内心では日本人たることを卑下していることは明白だ。証拠は多数ある。

たとえば,彼らは日本語を世界社会の田舎方言として恥じている。言葉は文化の魂であり,伝統の核心だ。それなのに,なぜ「日本人のアイデンティティ」などという,国柄史観からすれば植民地的・自虐的なはずの表現を使うのか? (たとえば,下村氏の発言参照)

小泉氏と言えば,日本首相であり,自民党総裁だ。その日本国の元首が,2004年9月21日国連総会で,なんと英語で演説をした(2002年9月17日にも英語演説)。日本文化の魂というべき日本語を捨て,英語文化にひれ伏したのだ。小泉演説をテレビで見ていて,恥ずかしさと情けなさで,涙せざるを得なかった。

また,自民党や財界は,小学校に英会話を導入しようとしている。グローバル化時代の金儲けには,カタコト英語が必要だという卑屈な理由かららしい。子供たちが街角で外国人相手に「ハロー」などと話しかける悲惨な情景がまもなく全国で見られるようになろう。占領下の「ギブミー・チョコレート」とどこがちがうか?

私たちは言語で思考する。言語は魂そのものといってよい。その日本人の魂としての日本語を,自民党や財界は目先の金儲けのために捨て去ろうとしているのだ。文化植民地の悲惨は語るにあまりある。

たとえば,ネパール。他の多くの途上国と同様,ここでも言語による身分区別が出来つつある。
  1級国民=英語使用
  2級国民=ネパール語(国語)使用
  3級国民=少数民族語使用
自分の使う言語そのもので,社会的,経済的身分が決められてしまう。魂の奥底まで支配する言語カースト制。日本をそんな国にしてよいのか?

どの民族でも,自分の文化,自己の尊厳を守るため,母語を死守しようとする。ネパールの小さな民族代表ですら,国会では堂々と民族語で演説しようとする。それなのに,日本の元首が,自ら進んで英語帝国主義にひれ伏すとは,情けない。

世界一の政治的民族,イギリス人は数百年前から英語を世界支配の先兵とするための策略を練り,着々と実行してきた。言語を握れば,結局は,すべてを支配できると考えたからだ。

そんな見え透いた英語帝国主義のワナに,金に目がくらんでスッポリ嵌ってしまったのが,自民党や財界だ。日本庶民のやせ我慢の美学も武士の威厳ももはやどこにもない。「日本古来の伝統・文化を尊重する責務」などと,お説教しているが,それらを根底から破壊しているのは,まさに彼ら自身だ。いずれ,英語でKimigayoを歌い出すだろう。彼らに,日本の伝統を語る資格はない。(M. Tanigawa, 2004.11.25)

(注)語る「資格」はないが,語る「理由」はある。以下,続く。

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    教 育 基 本 法

   われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
   われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
   ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。
第一条(教育の目的)   教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
第二条(教育の方針)   教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。
第三条(教育の機会均等)   すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであつて、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によつて、教育上差別されない。
 A  国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によつて修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。
第四条(義務教育)   国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
A  国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。
第五条(男女共学)   男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであつて、教育上男女の共学は、認められなければならない。
第六条(学校教育)   法律に定める学校は、公の性質をもつものであつて、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
A  法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。
第七条(社会教育)   家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。
A  国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によつて教育の目的の実現に努めなければならない。
第八条(政治教育)   良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。
A  法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
第九条(宗教教育)   宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。
A  国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
第十条(教育行政)   教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。
A  教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。
第十一条(補則)   この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。
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    ユネスコ憲章 前文

戦争は人の心の中で生れるものであるから,人の心の中に平和のとりでを築かなはればならない。

相互の風習と生活を知らないことは,人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり,この疑惑と不信のために,諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となつた。

ここに終りを告げた恐るべき大戦争は,人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し,これらの原理の代りに,無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であつた。

文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは,人間の尊厳に欠くことのできないものであり,且つ,すべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもつて果さなければならない神聖な義務である。

政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は,世界の諸人民の,一致した,しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よつて,平和は,失われないためには,人類の知的及び精神的連帯の上に築かなげればならない。

これらの理由によって,この憲章の当事国は,すべての人に教育の充分で平等な機会が与えられ,客観的真理が拘束を受けずに探求され,且つ,思想と知識が自由に交換されるべきことを信じて,その国民の間における伝達の方法を発展させ及び増加させること並びに相互に理解し及び相互の生活を一層真実に一層完全に知るためにこの伝達の方法を用いることに一致し及び決意している。   戻る


自民党 平成16年度党運動方針(第70回党大会)

(2)教育基本法を改正し、教育改革を推進しよう
 子どもたちに新世紀を力強く生き抜く力を身に付けさせるため、人間力向上のための教育改革を推進することが極めて重要な課題となっている。
 すべての教育の根本法である教育基本法の改正により、親・子ども・教師が信頼で結ばれ、公徳心と公共の精神、国を誇りに思う心が自然と身に付くような教育、家庭や地域の教育力の回復を実現するため、全都道府県支部連合会に設けられた教育改革推進本部を中心に、教育基本法改正に向けた国民運動を展開する。教育振興基本計画を策定し、わが国の目指すべき教育を具体的に方向付ける。
 基礎・基本を重視した確かな学力の育成、家庭・学校・地域社会が一丸となった豊かな心の育成を進める。食生活の大切さを教える「食育」を推進し、栄養教諭制度を創設する。環境教育、奉仕・体験活動および読書活動を推進するほか、地域における大人の力を結集して「子どもの居場所づくり」を推進し、社会全体で子どもをはぐくむ環境を整備する。
 また、競争的環境の中で個性輝く大学づくりを目指し、国立大学の法人化や21世紀COE(卓越した研究拠点)プログラムを確実に推進する。法科大学院などの専門職大学院の形成支援などを強力に進める。18歳以上の希望者全員への貸与を引き続き目指した奨学金の抜本的な充実、わが国の教育に重要な役割を果たしている私立学校の振興を図る。
 さらに、文化芸術を生かした豊かな国造りを進めるため、伝統文化や文化的景観を子どもたちに継承し、その保護や発展を図る取り組みの推進、最高水準の文化芸術の創造、文化芸術の振興の基盤を成す著作権制度の改善を図る。また、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成を目指し、だれもがスポーツに身近に親しむことのできる生涯スポーツ社会の実現、国民に夢と希望を与える世界トップレベルの選手を育成する。


長崎市議会決議

請願第8号

教育基本法の徹底論議に基づく早期改正を求める意見書の提出に関する請願につい (平16.9.24採択)

                                    紹介議員 吉原孝・毎熊政直
請願の要旨
 平成15年3月、中央教育審議会は、文部科学大臣に対して教育基本法の改正を答申しました。しかし、政府は未だ国会に改正案を提出していません。
 教育は国家百年の大計といわれますように、わが国の将来に大きく関わる重要事項です。とりわけ、多くの問題を抱える現在の教育を改革することは、一刻の猶予も許されない喫緊の課題となっています。
 そこで、政府に対し、早急に教育基本法改正案を国会に提出し、教育基本法の徹底審議に基づく早期改正を求める意見書を、貴議会が議決して提出されるよう請願致します。

請願の理由
 教育基本法は、昭和22年の制定以来、一度の改正もなく戦後半世紀以上が経過しました。この間にわが国の社会は大きく変化し、教育は多くの問題を抱えるに至りました。青少年の凶悪犯罪、学校崩壊や暴力・いじめの増加、不登校の問題、家庭や地域社会での教育力の低下など、今日、教育改革は国民的課題となっています。とりわけ、当長崎市では少年による痛ましい事件が発生しており、早急な問題解決への取り組みが求められています。
 こうした中、平成15年3月、中央教育審議会は、文部科学大臣に対して「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」を答申し、教育基本法の改正を提唱しています。
 教育の再建に向け、今ごそ青少年の健全育成を図り、国際社会でも認められる日本国民のあり方は如何にあるべきかを真剣に考え、新たな時代の教育の方向性を明確に示す必要があります。
 そこで、貴議会におかれましては、政府に対して、一日も早く国会に教育基本法の改正案を提出し、一切のタブーを排して徹底論議を行い、早期に教育基本法の改正を実現するよう、地方自治法第99条の規定により意見書を提出して戴きますよう、地方自治法第124条に基づき、ここに請願致します。

  平成16年9月7日

長崎市議会議長  緒方冨昭 様
                              請願人
                              長崎市(以下略)
                              日本会議長崎  会 長   松田q一
                                         理事長  下條洋二
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請願第5号

教育基本法「改正」ではなく、教育基本法に基づく施策を進めることを求める国への意見書提出に関する請願について (平16.9.24不採択)

                               紹介議員  高瀬典子・堀江ひとみ
1.請願の趣旨
 教育基本法の第1条(教育の目的)には「人格の完成をめざし、……」と謳われ、戦前のように、教育に「国家の戦争を支える人づくりを担わせたこと」を反省し、教育目的を何かの手段にしてはならないことを明記しています。それは、教育の主人公は子どもと位置づけて、どの子にもある人間としてのすばらしさを伸ばすことを何よりも大切にすることと考えます。このことは、多くの調査でも明らかなように保護者が「我が子に確かな基礎的学力をしっかり身につけて欲しい」と願っていることに通じることです。
 教育基本法第3条(教育の機会均等)は「すべて国民は、ひとしく、その力に応じる教育を受ける機会をあたえられなければならない・…・・」と定めています。この条文によって、定時制や通信制の教育、障害児教育、奨学金制度、私学助成等の充実が果たされてきました。全国どこでも一定の教育水準を保障する義務教育国庫負担制度は、この条文から保障されてきました。ところが、政府は、地方の反対を押し切ってこれをなくそうとしています。政府は教育基本法に反する政策をすすめています。
 教育基本法の第10条(教育行政)は、「教育は不当な支配に服することなく……」と戦前、国家が教育内容を戦争遂行のために、支配したことの反省から、教育は国民全体ですすめていくことを定めています。そのことは具体的には、父母と教職員・地域住民が力を合わせ、そして、子どもの意見も発達段階に沿って取り入れ、共同の力で教育を築く道であると考えます。
 今、教育に対する悩みや不安を多くの県民が抱えています。学校では、教職員が多忙化に追われて、一人ひとりの子どもと向き合う時間が足りない、という嘆きが聞こえます。
 このようななかで、今こそ、教育基本法の理念に基づく施策を社会や学校に生かしていくことが大変重要だと考えます。このようななかで、子どもたちの郷土を愛する心や身の回りの人々を尊敬し労る気持ちも育つと思います。
 以上の趣旨から、教育基本法「改正」ではなく、教育基本法に基づく施策を進めることを求める意見書を国に提出して頂くことを請願致します。よろしく御願いします。

2請願項目
 「教育基本法『改正』ではなく、教育基本法に基づく施策を進めることを求める意見書を国に提出して頂くこと」

     2004年9月6日

長崎市議会議長  緒方冨昭 様
                              請願人
                              長崎市(以下略)
                              「高校改革を考える長崎県民の会」
                                 中島卓馬

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長崎県議会  教育基本法の改正に関する意見書

 現行の教育基本法は、昭和二十二年制定以来、一度の改正なく五十年余が経過し、この間における国内外の著しい社会経済情勢の変革に伴い、教育を取り巻く環境も制定当時とは比較できない程大きな変容を見ている。
 このような状況の中、学校におけるいじめや不登校の増加、豊かな人間性や正義感・倫理観の欠如、さらには、社会全体のモラルの希薄化による家庭や地域の教育力の低下など、わが国の教育は全般的に深刻で多様な課題を抱えており、多くの国民が教育の現状と将来について憂慮している。
 一方、本格的な国際化・情報化時代をひかえた今日、国民の教育に対する期待や関心はかつてない高まりを見せ、たくましく創造的に新しい時代を切り拓く人材の育成は、一刻の猶予も許されない国民的課題となっており、我が国における将来の教育の在り方に関し、全国的に様々な改革の論議がなされている。今こそ、次代を担う青少年の健全な育成を図り、国際社会で立派に活躍できる日本人の教育はどうあるべきかを真剣に再考し、今後の日本の教育の方向性を明確に国民に示す必要がある。
 よって、国におかれては、早急に国民各界・各層での幅広い論議を集約し、時代の要請に則した教育基本理念の構築に着手されるよう、強く要望する。
 右、地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出する。
    平成十二年三月十七日
                             長 崎 県 議 会

(提出先) 内閣総理大臣 小渕 恵三 様 文部大臣   中曽根弘文 様 内閣官房長官 青木 幹雄 様


滋賀県議会 教育基本法の早期改正を求める意見書

我が国の教育は、昭和22年に制定された教育基本法のもと、個人の尊厳および真理と平和を基本理念として人格の完成を目指し、その普及が図られてきた。

しかしながら、戦後の教育改革・法制定後半世紀以上が経過する中で、教育の量的拡大と国民の教育水準の向上などの成果を生む反面、国民全体のモラルや青少年の規範意識の低下、社会への帰属意識の希薄化、学校教育における問題行動の深刻化、家庭の教育力の低下や、誤った平等主義教育、宗教的情操教育の未成熟など社会のさまざまな分野で看過できない歪みを生じてきている。

こうした中、中央教育審議会は、本年3月20日に新しい時代を切り拓く心豊かでたくましい日本人を育成する観点から、現行の教育基本法は重要な教育の理念や原則が不十分であり、それらの理念や原則を明確にするため、見直しが必要であるとして、「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」答申を取りまとめ、文部科学大臣に提出した。

新世紀を迎えた今こそ、我が家庭・郷土・国家を愛し、気概に満ちあふれ、国際社会で活躍できる日本人を育成するための、教育はどうあるべきかを真剣に検討し、思いやり、公共心、自律心、道徳心、伝統、文化などについて、日本人としてのアイデンティティーの確立に重点をおいた今後の我が国の教育の方向性を国民に示すべきときである。

よって、政府ならびに国会におかれては、「人づくりは国家百年の大計」にあることにかんがみ、教育基本法を早期に改正されるよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成15年7月18日
                                       滋賀県議会議長 三浦治雄  


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